日本人作家

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「死者の書」 ジョナサン・キャロル

  • 2008/06/27(金) 19:13:19

死者の書 (創元推理文庫)死者の書 (創元推理文庫)
(1988/07)
浅羽 莢子

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 ぼくの目の前で少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って?……ここはアメリカの小さな町。一人の天才作家が終生愛した町。ぼくは彼の伝記を書くために逗留している。でも知らなかった。この世には行ってはならない町があることを。衝撃のダーク・ファンタジイ。

 おー、これは、この世界観は好み。アメリカの小さな町ゲイレンでは、誰もがお互いのことをよく知っている、閉ざされた町だった。もうこの設定だけで喰いつける。物語半ばで謎が序々に明らかになるにつれて、読み手はかなり困惑していきますが実はそれすらも伏線になっている。創元文庫のファンタジーから出版されてはいますが、これはホラーでありファンタジーであり、ミステリーでもあるのです。読み終えた後に多くの余韻が残る作品。
★★★☆☆

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「くじ」 シャーリイ・ジャクスン

  • 2008/06/21(土) 23:01:05

くじ (異色作家短篇集)くじ (異色作家短篇集)
(2006/01)
シャーリイ ジャクスン

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 町中の人が集う広場で行なわれるくじ引きで、いったい何が決まるのか-。表題作「くじ」のほか、人間の残酷さを抉り出し、読む者を狂気の世界へ誘う21編を収録した短篇集。

 第三者からの悪意、明確な理由もないままずるずると転落してしまう悲劇を書かせたら天下一品というジャクスンさん。物語の主役よりも脇役のほうが生き生きとして目立ってます。もちろんその残酷な悪意で・・・。第三者本人が自覚していない悪意っていうのはよくありますが、シャーリイ・ジャクスンの書く悪意は明らかに確信的な悪意。なぜ全くの他人からそんな悪意が生まれているのか。そんなところでゾッとします。さすが魔女とまで言われたシャーリイさん。

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「笙野頼子三冠小説集」 笙野頼子

  • 2008/06/21(土) 01:46:06

笙野頼子三冠小説集 (河出文庫 し 4-4)笙野頼子三冠小説集 (河出文庫 し 4-4)
(2007/01/06)
笙野 頼子

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―イリュージョン、パラレルワールド、妄想世界―

 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の3つが詰められた短編集。作風としてはパラレルワールドの私小説といった感じ。特に「タイムスリップ〜」は日常の生活でフッと頭に湧いた妄想をあちこちにちりばめつつ小説調にまとめられている。「二百回忌」は実際にありそうでなさそうな土地で行われる法事のイリュージョンだし、「なにもしてない」は妄想世界の私小説。そしてこの小説は、読む人をかなり選ぶと思う。文章はなかなかウィットが効いていて読みやすく、ユーモアタッチだけれど、その内容がもうぶっ飛び過ぎてついていけなくなる。3作の中だと「タイムスリップ〜」は電話を通じた会話の中で思考があちこちに飛ぶ、という展開なので読みやすいけれど、「二百回忌」と「なにもしてない」には困った。架空の土地の郷土史が永遠と続いているような感じで、そんなタイプが好きな人にはかなりはまるのかと思うけど、私にはイマイチな作品でした。でも「タイムスリップ〜」の文章は割と幻覚的で良かったです。あー。ジャンルは幻覚小説かな、これは。

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「倒立する塔の殺人」 皆川博子

  • 2008/06/16(月) 16:41:31

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)
(2007/11)
皆川 博子

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 戦時中のミッションスクールの図書館の本の中に紛れ込んでいた1冊の本。蔓薔薇模様の美しい装飾の本には「倒立する塔の殺人」というタイトルだけが書かれていた。少女たちの間で小説が回し書かれ手から手へ、想いが紡がれていく。底知れぬ悪意とともに・・・。
 日本幻想文学の大家、皆川博子の新作。もう御歳77であるのに、この妖しい世界。戦時中の禁欲されたミッションスクールという設定の中で、交換日記のように少女たちの間で手記が交わされ、一つの小説「倒立する塔の殺人」が書き継がれていく。それぞれの思惑が手記の中にひそんでいて、作中作中作のような入り組んだ構成の背景には恐ろしい悪意がある。「聖女の島」ほど怪しい世界ではないが、その動機や交錯する想いはまさに幻想そのもの。本格的な幻想ミステリです。

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「伝奇集」 ボルヘス

  • 2008/06/03(火) 13:52:50

伝奇集 (岩波文庫)伝奇集 (岩波文庫)
(1993/11)
J.L. ボルヘス

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―数分間で語りつくせる着想を
      五百ページにわたって展開するのは狂気の沙汰である―

 夢と現実のあわいに浮び上る「迷宮」としての世界を描いて、二十世紀文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九‐一九八六)。本書は、東西古今の伝説、神話、哲学を題材として精緻に織りなされた彼の処女短篇集。<amazonより>
 プロローグにすべてが語られている。つまり「数分間で語りつくせる〜」。本書ではこれを実践し、予言通り、狂気の書になっている。普通の人(私のような)が読むと八割は意味が分からない。残りの二割は知らない固有名詞である。ただ、イメージ的に共感できる物もある。たとえば「バベルの図書館」は、図書館内にある膨大な本をすべて読んだ人は絶対におらず、実際に読むことも不可能なのだが、図書館の中(秘密の場所)には、全ての本の内容が詰まっており、その1冊を読んだだけで全ての本を読んだことになる、すなわち「神の本」があるはずであるがどうしても見つからない、というような。たぶん図書館のヘビーユーザにはたまらない短編だと思う、「バベルの図書館」だけだが。

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「幽霊たち」 ポール・オースター

  • 2008/05/14(水) 18:09:00

幽霊たち (新潮文庫)幽霊たち (新潮文庫)
(1995/03)
ポール・オースター、柴田 元幸 他

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―青いもの。ブルーバード、ブルーベリー
               ブルース、青い目、俺の名前―


 私立探偵ブルーはホワイトから奇妙な依頼を受ける。真向かいのブラックを見張る依頼。だが、ブラックの日常には何もない。毎日何かを書き、本を読み散歩をしているだけなのである。ブルーはブラックの正体やホワイトの目的を推理して空想に飛ぶ。オースターの代表的な作品であり、ニューヨーク三部作の1つ。
 なんといっても書き出しがいい。‐まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる‐。こんな調子で続くので数ページ読むと著者近影も相まって、この作者、ムチャクチャ不器用なんじゃないかと思い親近感がわく。そしてこの小説には会話調の文はあるが、会話文がない。要するにカギカッコ付きの文が全くない。すべて地の文である。しかし(それゆえ?)読む人はあたかもブルーと会話しているような気分になる。ブルーはブラックを見張っているが、ブルーは読者に見張られているのだ。戦慄である。
★★★★☆  

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【読書日記】池波正太郎の午後

  • 2008/05/07(水) 01:45:29

某日。
顔にまとわりつく雨のなか、友人に連れられて築地へ。
退屈すぎてたまらなくて窓からテレビを投げ捨ててしまったので(*1)
その日の天気など分からない私の手には、盗んだ傘しかなかった。(*2)
雨の匂いさえしなかった。

平日だというのに、築地市場は佃煮にするほどの人出でごった返していた。
数々の行列ができている店をやり過ごし、比較的すいている店で昼間から
池波正太郎を決め込む。(*3)
すいている店で、外の行列を眺めながら一杯やる。
実は、これが一番の贅沢である。江戸っ子である。

昼間から刺身と日本酒で一杯やったあとで、半ば連れ去られるように恵比寿へ。
恵比寿と言えばもちろんガーデンプレイス。
以前行った時には全く気がつかなかったが、ガーデンプレイス内には麦酒記念館(*4)なるものがあり
そこでサッポロビールの試飲ができる。
試飲とはいっても、ちゃんとテーブルや椅子もあり腰を落ち着けて飲むことができるのがうれしい。
しかもグラスビールがなんと200円というリーズナブルさ!
ギネスもグラスで250円!・・・価格破壊だ。
もう、恵比寿に来たらここにしか行けない。

帰りに本屋でポール・オースターの「幽霊たち」を買う。
見返しにある著者近影が、ゴツイおじさんだ。
小説家というよりは、テロリストのようだ。刑事のようでもある。
釣り人にも見える・・・。マルチな風貌が興味をそそる。
しかし、今読んでいるボルヘス(*5)の混沌とした本を読み終わるのはいつになるのだろう。
ボルヘス、ボルヘス、ボボルヘスである(*6)

家に帰り、ポールさんをベッドサイドに積んだ。

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「深泥丘奇談」 綾辻行人

  • 2008/04/18(金) 23:12:02

深泥丘奇談 (幽BOOKS)深泥丘奇談 (幽BOOKS)
(2008/02/27)
綾辻行人

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- この世にはね、不思議なことがあるものなのです -

 綾辻行人の新刊が出ていたのについ最近気づきあわてて本屋へ走る。なんというか、ちゃんと本になったものでないと興味が持てないので、「幽」で綾辻さんが何か連載していたのは知っていましたが、全くノーチェックでした。なにげなく読んでたらP21 の7行目でウオッーーと叫ぶ。もう綾辻ファンなら叫ぶしかない文章。鳥肌まで立ててしまった・・・。
 曖昧模糊とした綾辻行人の「怪談」。なにか得体のしれない恐怖。なんだかわからないけど、少し、ゾッとする。そんな短編集。でも体調の悪いときには読まないほうがいいかも。
★★★☆☆

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「砂糖とダイヤモンド」 コーネル・ウールリッチ

  • 2008/04/18(金) 21:41:34

砂糖とダイヤモンド―コーネル・ウールリッチ傑作短篇集1 (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 1)砂糖とダイヤモンド―コーネル・ウールリッチ傑作短篇集1 (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 1)
(2002/09)
コーネル ウールリッチ

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- 観客は誰もいらない
     連れは夜の闇だけでいい <死体を運ぶ若者>-


 創元推理から出ているアイリッシュ名義の復刊を待っていましたが、とりあえずは白亜書房のウールリッチ短編集を揃えることにしました。まあ、白亜も潰れてしまっているので、もはや絶版状態なのですが・・・。こういうときにアマゾンの中古販売は使えますね。
 で、短編集の中身はというと、ウールリッチお得意の「走れメロス」系の友情もの、殺人の痕跡を隠し通そうとする「死体を運ぶ若者」、ハードボイルドな「モントリオールの夜」、と多彩なジャンルが揃っている。私は「死体を運ぶ若者」が好きで、創元推理の村上博基/訳も読みましたが、何度読んでもあのヒヤヒヤしながら死体を運ぶというサスペンスは素晴らしいですね。

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「ハッピーエンドにさよならを」 歌野昌午

  • 2008/04/15(火) 20:11:36

ハッピーエンドにさよならをハッピーエンドにさよならを
(2007/09)
歌野 晶午

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−ハッピーエンドで、めでたしめでたし
             それはもう、むかしのお話・・・−


 事件の裏には多種多様な殺意が存在する――。一風変わった殺人の動機に焦点を当てる著者初の短編作品集。 <出版社より>
 殺人にあるのは、まず動機。最近のミステリー(のようなもの)には動機がなかったり、あいまい立ったりするものが多いと思う。まあ、本人が自分でもわからないあいまいとしたものが動機ということもありますが・・・。そしてこの短編集。歌野昌午は怒っている。現在の教育の在り方、マスコミの報道、あほうな親、などなど。その怒りが登場人物の殺人への動機となって、また歌野さんにこの小説を書かせる動機になったのではないか。なんて。
 題材がなかなか凝っていながら、小説の文章はかなり軽くて読みやすい。うーん、さすが歌野さん。葉桜で十八番芸になってしまったどんでん返しもあるし。どの作品かは読んでみてください、フフフ・・・。
★★★★☆

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