本の紹介や読書日記。作家別一覧は「カテゴリー」からどうぞ。
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某日。
あいかわらずせきが止まらないので、近くのコンビニでのど飴を大人買いする。
そこにある商品全制覇である。
以前のど風邪の時にVICKSを舐めたら、薄皮がはがれるように治ったのでまたVICKSを、と思ったらない!
店員に「VICKSないの?」と聞いたら、片言の日本語で、「私も風邪ひいてのどが痛くなった時にはのど飴をなめることにしている。それはいいことです。でもVICKSってなんですか?のど飴はここに出てるのしかないです。あ、この龍角散のど飴は素晴らしいです。ほら、私もこれ買いました。これおすすめです。ハッカですーっとします。のどスッキリです。」というような事を言われて熱心に勧められた。
エッーちくしょう、てやんでぇ、べれぼうめぇ、こちとら江戸っ子でぃ、職人でぃ、そんなしちめんどくせぇことゴチャゴチャぬかしてねぇで、こっからここまでの飴全部よこしやがれ、っきしょうめ!
と、盛大な啖呵にせき込みながら、10個くらい購入。
うう、口の中がレロレロである。
昼間はそんなでもないんだが、夜がけっこうツライのだ・・・。

昼から神保町の喫茶店ラドリオで読書会。
ラドリオは結構有名店なのだけれど、名前は知ってるけど入ったことのない喫茶店。(神保町の喫茶店はなんかどこも入ったことがあまりない・・・入りづらい・・・)
しかし俺、そのまま仕事直行だったので休日ラドリオで1人だけスーツ、今考えてみただけでも浮きまくりですねぇ。
課題本は浅田次郎「闇の花道」*。盗っ人が粋に仕事とかいろいろする話だ。さいとうたかをの「雲盗り暫平」も、こっちは江戸時代の話だけどスカッとする盗人噺だったなあ、などと今思う。
講談を聴いているような感じで話が進むので、スラスラ読めるっていうのが印象的でしたなあ。
私は時代物だと、偉人が出てくるものとかはダメで、市井の人々が描かれているものに弱いのだ。
久しぶりに周五郎でも読もう、と本棚をひっかきまわしたら「寝ぼけ署長」*しか出てこなかった。
ま、これはこれでいいんですけどね。
























*闇の花道
闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)

*寝ぼけ署長
寝ぼけ署長 (新潮文庫)




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某日。
世間同様、突然風邪をひく。
なんか最近ゴホゴホやってる人が多い。
突然の寒空だからなあ。
というわけで、喉がつらい辰巳さんと同じく銀のベンザ*
しかし実際、せきが出た時はのど飴に頼るしかなく、せきが出るたびにのど飴、のど飴という状態で、なんか中毒患者のようである。

夜、ずっと見たかったけど、3時間もあるので見てなかった映画「ドッグヴィル」*を見る。
お。チョークで線引きしただけの舞台に役者を立たせての芝居でなんか新鮮な感じ。
そういう舞台にしたのは、中盤あたりで、やっと監督の狙いに気付くのだが、まあ、退屈な気も・・・。
し、しかし、それ以上にストーリーがひどい・・・。
男の煩悩と女の愚かさを描いただけですなぁ。
ああ、ニコール・キッドマン、かわいそう・・・。
住民が23人しかいない閉鎖された村の話、ということで小説だとなかなか空想をかき立てられて面白いんですが、映像になるとひたすら生々しいだけでした。
まあ、後味悪いといえば悪いけど、最後はあれしかないですね。良し悪しは別にして。
う、後味の悪さにせきが止まらん・・・。

主演はニコール・キッドマンとポール・ベタニー。
ポールの埋もれっぷりが最高にいい映画でした。
いやぁ、やっぱりベタニーは名優です。





*銀のベンザ
ベンザブロック。症状に分けて3つにするのはひどい。あんま利かないし・・・。


*ドッグヴィル
ドッグヴィル スタンダード・エディション
最後まで見ると、ああ、ドッグヴィルってそういうことね。とささやかな謎解き。








某日。
休みなので朝早く起きようと思ったら、昼が過ぎていた。
もったいない。もったいないお化けが出るほどもったいない。

何もとりあえず急いで神保町古本まつりへ裏を返す。
初会行って裏を返さないのはお客の恥、馴染みをつけさせないのは花魁の腕が鈍い*、だ。
待っているのは花魁じゃなくて、本の山だけれど・・・。

地下鉄神保町駅の階段を上がり、喫茶店さぼうるの脇に出ると、人がいる!
普段の休日だとだいたいの古書店は休みということもあり、神保町はガラガラなのである。
しかし今回は、前回(10/29)に比べさらに人人人。
今回の目的だった「ブックフェスティバル」は各出版社がそれぞれのブースで新書を自由販売する、という企画で、神保町のすずらん通りが本の山であふれかえるのである。
当然、本ハンターもあふれかえり、お互い路上に並んでいる本しか見ていないので人にぶつかるぶつかる。
ということで、私も10回ほどぶつかってまいりました。

まず、好きな東京創元社へ行って、ふんふん棚を眺めていると、なんと絶版でもないのに本屋で探してもぜんぜん見つからなかった「人魚とビスケット」*が!
しかも破格200円!もう、ものすごい勢いで購入。これだけで来た甲斐があるってものです。

その後はテキトーに各ブースを冷やかして(岩波はぜんぜん値引きしないで定価で売ってるよ、さすがだよ。ちくまにマンスフィールド短編集があったので衝動買い。アスペクトで落語関連の本買ってたら豊崎さんの百年の誤読海外文学編*が横に!そうだよそうだよ、やっぱり海外文学だよ、で購入。)、竹炭ラーメン「はと車」に行って(店主がなんとなくジミーペイジ風味)、行きつけのBADASSCOFFEEで買った本をあちこち30分ばかり読んで帰宅。

まつりは大満足で、これから買いまくった本を読むわけですが、はたして買う速度に読む速度が追い付くか・・・。
といううれしい不安もあるけど、とりあえず本棚の上とか床とかに全部積んだ。










*初会行って~
落語の名ゼリフ。こちとらそんなこたぁ百も承知二百も合点のおあにぃさんだ、と続く。「居残り佐平次」「五人廻し」などの廓噺で聴けます。










*人魚とビスケット
人魚とビスケット (創元推理文庫)
昔は創元から「世界大ロマン全集」で出ていた。ロマン作品なのだろうか・・・。



*百年の誤読海外文学編
百年の誤読 海外文学編
最近海外古典読んでますから、これはおもしろそう。









某日。
休日なので早起きして、復刊したシャーリイ・ジャクスンの「丘の屋敷」*を読む。
不思議な体験や心霊体験者が丘の屋敷に集められて、屋敷で起こる奇妙な出来事をさぐるうちに過去にその屋敷で起きた忌まわしい事件が明らかになり・・・。
なんだか幽霊だの心霊だの言っているが、そこは「魔女」とまで言われたシャーリイさんならば、ただの幽霊話なんかではないはず・・・と思って読み始めたら、初っ端から悲しいエレーナがいじめれてる・・・。
シャーリイ・ジャクスンの書く、「第三者の悪意」というのは底知れず怖く、それに巻き込まれるように主人公もだんだん狂っていく。狂気だ!これぞ、幻想だ!こんな作風なのに、育児のドタバタエッセイみたいなのも書いちゃうんだから、まったくこの人は・・・。

昼、プラッと神田古本まつりへ。
やっぱり神保町は古本街だけあって、古本市も規模が違う。なんと1週間もやっているのだ。
1週間、街が古本と古本ハンターでゴチャゴチャになる。なんか一昔前の秋葉原*のようになって、普通に神保町で働いているビジネスマンには迷惑そう、だが俺が神保町のビジネスマンだったら、路上にあふれかえる本が気になって気になって1週間仕事にならない。

そういえば、5000円のエリアーデ*を見つけてワアワア言ったり、時の人になる前の桜庭一樹読書日記をたまたま買って大当たりでその後の読書ジャンルが大いに変わったり、あれからもう1年か~などと考えて歩いていると、どこをどう間違えたのかヴィレッジバンガード前に出る。
あれ?こんなところにあったんだ、ここはひとつ冷やかしてやりましょう。と、入ったとたんムチャクチャ好みのピアノロックが流れていて、虜になる。しかも、なんかディスプレイされてて目の前で売ってる!*
いや、クラシックピアノはダメなんだけど、ジャズピアノは好きで、というかピアノとカホン(ドラムだ、たぶん)のコンビはずるいだろ~やったもん勝ちだろ~。しかも店で流して売るなよ~、とさんざん悩んだ挙句、衝動買いする。

その後、良く行く幻想書店の羊頭書房へ。
フフフ、フフフ、フ、フレドリック・ブラウンがほぼ500円均一。
清水義範の本の中で、フレドリック・ブラウンが出てきて、昔1冊読んだらなかなかのヒットだったからそれ以後いろいろ探している作家なのだが、どこにもない。
SFが本業の人だけど、むしろそれよりミステリ系のほうがおもしろいのだ。
しかし、ぜんぜん復刊されないし、古書店によっては法外な値段がついてるし・・・とあきらめかけていたら奇跡の遭遇。
4冊購入して、カバンがおも~くなったので帰宅。
今回はすずらん通りのブックフェスティバルがやっていなかったので、期間中にまた行きます。




*丘の屋敷
丘の屋敷 (創元推理文庫)
映画「たたり」の原作。クレア・ブルームが出ている古い映画を見たいが・・・レンタル屋になさそう。









*一昔前の秋葉原
今のオタク系ではなくて、電脳系だったころの事です。


*5000円のエリアーデ
エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955
結局、後になって買った。大切に読みすぎて、まだ読み終わってなかったりする。



*ピアノロック
First Contact
→Pia-no-jaC←
という名前のコンビ。打ちつけるようなピアノ!ドラム!ドラムンピアノ!








某日。
朝起きて、しばらく音楽を聴いて、読書会に出かける。
読書会なるものは初めてで、少し緊張する。
会そのものよりも、開催場所が代官山とかいうところのオシャレさんなカフェで、オシャレさんではない私は、そんな街へ行くと一歩も動けなくなってしまうのだ。

読書会とは、あらかじめ同じ本を読みあって、お茶でもしながらワアワア話し合うというもの。
おぉ~、なんか映画の「ジェインオースティンの読書会」*のようである。

じっさい代官山はファッション系の店やカフェなどが多く、なんかゾロッとした感じの自分がむちゃくちゃ浮いてる・・・。カフェなんて、どこもオープンカフェになっちゃっててものすごく憧れである。そういえば、昔、オープンカフェに憧れるのは田舎モンだとか言われた・・・。でもオープンカフェで昼間から飲むのは、やっぱり至福である。

ちなみに課題本は大西英司の「神はサイコロを振らない」*で、プチSFチックな感動もの・・・らしい。
あらすじは、10年前、フライト中に消息を絶ち行方不明になっていた飛行機YS11が、当時行方不明になっていた乗客を乗せたまま突然現在の羽田空港に帰還する。戸惑いながらも再会を喜ぶ家族たちに降りかかる運命とは。
うーん、SFが苦手な私は、読書会がなかったら絶対読まないだろう本だ。特にこの作品は、実際に起きたSF的な事の解説をしようとしているんだけど、いまいち納得ができないのだ。A+B=Cという形式のSFだとして、AもBも作中には出てきているのだけれど両方ともブラックボックスになってしまっていて、足し合わせるとなぜCになるのかがさっぱりわからない!という感じ。これがミステリだとAもBも日常に根を張るものでなくてはならず、ブラックボックス化することも少ないので、納得することができるのだけど・・・。

などとワアワア言っていたら、今度はSFの難しい話になってよくわからなくなる。そういえば、ぜんぜん作品の良し悪しに触れてなくて、SFとはというような話しかしていなかった!

夜、今はなき白亜書房から出たコーネル・ウールリッチの短編集「踊り子探偵」*を読む。!!!もう感動と鳥肌の嵐である!
読んだこともある短編もちらほらあったので、ふふーんと読んでいたのだが、パルプフィクションの王道を行くような「黒い旋律」でむむっとうなってから「妻がいなくなるとき」でもうページをめくる手が止まらなくなった。一気に読んでしまうほどのド迫力で、次から次へとたたみかけるような場面展開。ウールリッチが得意とする、いなくなった恋人を探し続けてさまようというタイプの初期の作品。最後まで読み終わったら朝になっていたので、ベッドサイドに積んで寝た。










*ジェイン・オースティンの読書会
ジェイン・オースティンの読書会



*神はサイコロを振らない
神はサイコロを振らない (中公文庫)











*踊り子探偵
踊り子探偵―コーネル・ウールリッチ傑作短篇集〈2〉 (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 2)
最初から最後までロマンスの嵐で毛穴が全開するような話です。







某日。
昼間に帰って、寝て、起きたら夕方。
おお、なにもせず1日が終わってしまった!
ということはザラの日々。あぁ、バラの日々。

好きなジャンルは?と聞かれると幻想小説と答えるようになって久しいのですが、実際聞いた方もそんなジャンルを答えられて戸惑うようで、なかなか話が続かないのです。
という私も、幻想小説といってもなかなかうまく説明できない。
「幻想小説?ファンタジーのこと?」
だ、断じて違うのである。ただその違いをいまいち分けにくい。ということで、とりあえずあまたの作品を中心にジャンル分けしてみようと思います。
あ、ちなみに分け方とジャンルの解説は、もうそうれはそれは独断と偏見であるアルヨ。

まずwikiで「幻想小説」を検索すると、「ファンタジー」に飛ばされる・・・。


◆幻想ファンタジー
ファンタジー(fantasy)は幻想的・空想的な要素が特徴的な作品が属するジャンル。

まんまです。舞台としては特に中世ヨーロッパなどが好まれて使われるようです。
ここで使われている幻想は、昔なくなってしまったものやこの世にないものを楽しむ幻想。
現代の日本人が、昭和30年代を懐かしむような懐古の情もファンタジーなのです。
つまり、西岸良平の「三丁目の夕日」*もファンタジーなわけで・・・。

基本的には、上記の「この世にないものを楽しむ幻想」と言うところで、剣と魔法の世界というのが多くを占めるのでしょう。
もちろんこのジャンルの代表作はJ・R・R・トールキン「指輪物語」*


◆幻想ミステリー
ミステリーというジャンルは音楽で言うと「ロック」みたいなもの。
掘り下げていけばハードロックにもなるし、合わせ技でクラシックロック、シンフォニックロック、ジャズロックなど様々なジャンルとの融合が可能です。
ミステリーも同様。ガチガチの本格から、社会派、純文学、ハードボイルドに+ミステリー。
世間はなんと謎に飢えていることか。

で、幻想+ミステリーだと、幻想世界の崩壊や幻想世界の中で起こるミステリー、といった作品が多いようです。ミステリーの醍醐味はやっぱりだます、どんでん返しで驚愕させる事なので幻想との相性も良いみたい。
代表作は、ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、服部まゆみのある作品を挙げます。
皆川博子も幻想ミステリーですが、これはまた幻想のジャンルが異なるので後述します。


◆幻想怪奇(ホラー)
怪奇がポイントです。怪奇といえば、あの人しかいません。
御大、ラヴクラフト。クトゥルフ神話。
このジャンル、幻想怪奇の大きな特徴は、その幻想が物理的だということ。
この世のものではないものたち。怪物、幽霊、etc...
これも舞台はだいたい、怪奇となりやすい中世やパラレルワールド。
代表作はラヴクラフトの「ラヴクラフト全集」*、ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」*など。
京極夏彦の作品も入ってくるかもしれません。
あとはレ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」*とか・・・。


◆幻想ロマンス
上記の幻想に比べ、ここから幻想というジャンルは一線を引かれます。
ファンタジーや怪奇といった、物理的な幻想に比べ、この幻想ロマンスや後述の幻想耽美は精神的な世界の幻想。
小説のジャンルとしてはもっとも魅力的で浸れるジャンルです。
このジャンルの舞台は、比較的現実社会であることが多いです。
現実社会の中での幻想。夢物語というやつですが、それにロマンが乗じられます。
代表作は佐々木丸美「雪の断章」*やウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の作品など。
特にウィリアム・アイリッシュはロマンス全開のフルスロットルです。
ちなみに乾くるみの「イニシエーション・ラブ」*もこのジャンルかと。
そう言われると、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。


◆幻想耽美
すべての幻想はここに回帰します。
つまり、幻想耽美こそ、幻想の中の幻想なのです。
一般的に私が言う幻想小説とは、幻想耽美のことを指すのです。
幻想的な世界、耽美な世界。それがレトリックとなって、小説の世界観を醸し出す。そのような作品群。
代表作は
皆川博子「聖女の島」*
シャーリイ・ジャクスン「ずっとお城で暮らしてる」*
ミルチャ・エリアーデ「令嬢クリスティナ」*
ナボコフ「ロリータ」*

単純に言うならば、それは妄想です。
しかし、ただの妄想ではない。小説のレトリックにおける、徹底した耽美なのです。


とまあ、いろいろ書きなぐりましたが、私が言いたいのは

「すべての小説は幻想である。」

この一言のみです。
とりあえず私としては、幻想小説とファンタジーはどうにか分けて欲しいなあと思うのですが、なかなか・・・。
幻想小説のジャンル分けが、せめて今のミステリーほど確立されれば、幻想文学が日の目を見る日も近いことでしょう。
それまではともに幻想を楽しみましょう。ともに世を呪いましょう。





























*三丁目の夕日
三丁目の夕日傑作集 (その1) (ビッグコミックススペシャル)
*指輪物語
新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)





















*ラヴクラフト全集
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))
*ねじの回転
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)
*吸血鬼カーミラ
吸血鬼カーミラ (子どものための世界文学の森)
*雪の断章
雪の断章 (佐々木丸美コレクション)
*イニシエーション・ラブ
イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)





*聖女の島
聖女の島 (講談社ノベルス ミB- 4 綾辻・有栖川復刊セレクション)
*ずっとお城で暮らしてる
ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫 F シ 5-2)
*令嬢クリスティナ
エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955
*ロリータ
ロリータ (新潮文庫)






某日。
ついに、一箱古本市当日である。
いままでちまちまと準備のようなことをしていたのだが、肝心の本の箱詰めや釣り銭準備や自分の出す本の準備や看板の作成やカッターやガムテープや封筒やらのこまごまとした道具の準備をしていなかった!
というより、今まで何してたんだ?おれ。

というわけで、古本市前日の夜勤明けの昼間から夜までの間でどりゃぁぁあ、と一気に片付ける。
その間に、プリンタがVista対応になってなくて、Vista用ドライバ入れたら動いたけどインクがなくて、インク入れたら、実はインクヘッドが壊れててカラー印刷ができないので、ネットカフェに行ってカラー印刷しようとしたら1枚50円も取られて、出てきた印刷物は印刷位置がずれてて結局使えなくて、なんだこりゃー、なんていうドタバタを繰り広げ・・・。
つ、疲れた!

当日朝、カロリーメイト+ポカリスエットの大塚製薬コンビネーション*をいただいた後、本がカチカチに詰まった段ボールを両手で持ち、手提げを抱え、リュックを背負って、武装してハングライダーに乗る人のようになる。なんかモッサリである。

古本市会場の光源寺までタクシーで乗りつけ(このタクシーの運転手が遠くからゴテゴテ装備して歩いてくる私を見てか見ずか、常にニヤニヤしていた。なにかおかしかったんだろうか・・・)、他の店主の方々やお手伝いの方々と合流。箱に本を並べるレイアウトを決めたりして、実際販売開始になってからはもう時間がたつのがあっという間。ちなみに一番最初に売れたのは式場隆三郎『二笑亭綺譚』*でした。

お昼ぐらいから、売り場の店主をこのまま放っておくと次々と本を買って破産しそうなH氏におまかせして、他の店をプラプラ冷やかし。と、むむっ!あれは談志師匠(の独演会ビデオ)じゃないか!でもビデオである。うちにはビデオデッキがなくDVDならなあ、などと思い明らかにビデオのパッケージを手にとって、店主の人に「これDVDですか?」とか聞いたら、したり顔の店主が奥からごそごそと怪しいCDを取り出す。

主「ぬっふっふ、旦那。こんなのありますぜぇ」
私「・・・!こ、これは快楽亭ブラックの禁演落語集!」
主「今ならお安くしときますぜ」
私「ぬふふ。そちもわるよのう」
主「ぐはははははは」

というようなアイコンタクトをコンマ1秒の間に行い、即座に購入する。
アンダーグラウンド落語の教祖とも言うべきブラックのCDが馬鹿安で買えた。これぞ運命の出会いである。

うろうろして戻ってくると、店のお手伝いが増えてる。10人いや、11人いる!*
な、なんだろう。古本市なんだけれど、立食パーティ会場のような状態になってる。でもやっぱり、人は人に引き寄せられるもので、お客さんも次々とやって来てお祭りだ!これぞ、お祭りだー!

わあわあやりながら古本市終了後、売れ残った本をまとめてダンボールに詰め込んだら、朝持ってきた時より、重い。なんとか担いで持って帰ったものの、腕がぷるぷるになる。昔、古畑任三郎のDJおたかさん(桃井かおり)のエピソードで、全力疾走した後で腕が震えて、レコードの針を落とせないシーンがあったけれど、それを思い出し、急にどっと疲れる。

夜、売れ残った岩井志麻子の「ぼっけえ・きょうてえ」を読む。表紙の甲斐庄楠音作「横櫛」に描かれた女性が、なんとなく岩井志麻子にそっくり*で、表紙から「読め~、読め~」と怨念が送られているようで、小説よりも怖くなる。


















*大塚製薬~
病気の時、ちょっとした栄養補給にばっちり。実は2つとも大塚さんである。





*二笑亭綺譚
定本 二笑亭綺譚 (ちくま文庫)
建築執念の塊みたいな本。深い穴。














*11人いる!
11人いる! (小学館文庫)
もう記憶に残ってないほど昔に読んだ本。






*岩井志麻子そっくり
てことは怖い影のある美しい女ってことですね、志麻子さん。きょうてえきょうてえ。
ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)







某日。
気がついたら、家がシッチャカメッチャカになっている。
本棚からあふれた本がいたるところに積み重ねられて、缶ビールがゴミ袋にいっぱい。
あれ?この前缶ビール全部捨てたはずなのに、もうゴミ袋(45リットル)が缶だらけで縛れない・・・。
えいや、っと一気に片付け、半日が終わる。不毛だ・・・。

来月には古本市に出店するための本たちがドサドサ来そうなので*、ごちゃごちゃにならないようにでかい本棚も買わねばー。あれをこっちに、それをあっちにとかごちゃごちゃ家具を動かして余計ちらかる。買う時に家具のサイズを間違えたのだろうか、とか言っても6日の菖蒲、10日の菊、26日のクリスマスケーキである*

夜、ちまちまと「ラヴクラフト全集1」を読む。ラヴクラフトはクトゥルフ神話を創った人で、人間ならざる者が闇に蠢く恐怖や太古から続く暗黒世界へのいざないの恐怖やらなんやら、やたら「見えない怪物」におびえるという怪奇小説を書いた作家である。
うわぁ・・・。なんか、もう、はじめから暗い。ラヴクラフトの世界には青雲などこれっぽっちもなく、常に暗雲が立ち込めているような世界。怖い、というよりも「不気味悪い」というような表現がぴったりの、まさにこれぞ怪奇小説でゾクッとする。
と思ったら短編の「死体安置所にて」でズッコける。な、なんだこれは・・・。ポーの「おまえが犯人だ!*」みたいなノリで、こっちのラヴクラフトのほうが好きかも・・・。
なんてゆっくり読みながら、最後の数ページだけ残してベッドサイドに積んだ。










*本がドサドサ来る
不忍ブックストリートの一箱古本市で売られる本。いろいろなジャンルの本が集まりそうで今から楽しみ。なんか「小さな本の数奇な運命」のようだ。
*6日の菖蒲~
手遅れという意味らしい。初めて知った。





*「おまえが犯人だ!」
たぶん中央公論のポー全集4にあったと思う。ものすごいインパクト。。。なんだろう、これは。








某日。
日曜日。頭がいたい。飲みすぎだ。
昼からプラプラ神保町へ。
人がいない・・・のも当たり前か。神保町の古書店はだいたい日曜日は休み。
人通りもまばら、車も少ない、けれど書店が立ち並ぶ古くておしゃれな町並み。
観光地から少し外れた外国の町みたいだ・・・。(*)

そんなことをふと思いながら、今回の目的は新刊本なのでやっぱり三省堂へ行く。
先日友人と行きつけの本屋について話していたら、神保町の新刊本屋の話になって、

友「神保町の紀伊国屋書店がいいよ。売り場も広いし。」
私「ん?紀伊国屋なんてないんじゃない?」
友「あるんだよ。紀伊国屋!知らないの?結構でかいんだけどな。おまえは?」
私「う~ん、グランでもいいけど、やっぱり三省堂かなー」
友「あ。三省堂だった。紀伊国屋じゃなくて三省堂だ!」
私「◆※◎$▲・・・・・・」

な、なんだ。紀伊国屋ファンとして一瞬あせってしまった。

あまりうろうろしていると余分なものを買ってしまうので2階の文庫売り場に直行してジョイス「ダブリン市民」(*)、ラヴクラフト全集1(*)(ついに、ついにラヴクラフト!)、綾辻&有栖川「ミステリジョッキー1」(*)を買うと、レジでテンパってる研修生に、お釣りの300円を50円玉6枚で渡される。100円玉でください、と言ったら100円玉3枚にしてくれたが、【両替 300円】と書かれたレシートまでくれた。なんだ、これ。某ミステリチックではありませんか!(*)


買った本を持って、神保町の外れにある喫茶店「BAD ASS COFFEE(*)に行く。
ハワイのコーヒーチェーンなのだが、日本にも7店舗ある。
なぜ、喫茶店激戦区の神保町に出したのだろう、目の前にヴェローチェもあるし・・・。
しかしこの2階は本当に落ち着く。通りに面した大きな窓から見える神保町の落ち着いたcity viewもなかなかで、店内のBGMも眠くなるような音楽(ハワイの音楽だろうか?)。
ゆったりとした喫茶店で、コーヒー、タバコ、本。ああ、もうこれ以外なにもいらない。








(*)外国の小さな町
イメージとしてはサンフランシスコのケーブル乗り場からちょっと外れたところとか。閑散とした都会は大好き、だ。

(*)「ダブリン市民」
ダブリンの市民 (岩波文庫)

(*)「ラヴクラフト全集1」
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

(*)「綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)」
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)


(*)某ミステリチック
五十円玉二十枚の謎で若竹七海が提示した謎「池袋の書店を土曜日ごとに訪れて五十円玉二十枚を千円札に両替する中年男の真意は?」のこと。なつかしいなぁ、再読するかぁ。

(*)BAD ASS COFFEE
BAD ASSはそのままの意味で「ちょっと失敗するけど憎めない働きロバ」らしい。なんかスラングだと思ってた。まぁ、スラングでもあるんだけれど。






某日。
某SNS(*)で、谷中・根津・千駄木の不忍ブックストリートで行われる「秋も一箱古本市2008」に一日店主として参加できそうなことになる。
初の古本イベント出店、しかも店主である。
このイベントは毎年やっていて、不忍通り周辺の古書店やらなんやらの軒先を借りて、段ボール一箱に詰めた古本を売るというお祭り。
このときばかりは買ってもらうのではない、売るのだ。売りつけるのだ。
ムチャクチャマイナな本を、溢れんばかりの愛と情熱と適度な嘘とともにオススメして売りつけるのだ。
というような事を、友人に熱く語っていたら「ふーん」と流されてしまった。
まだ、登録すらすんでないんですけどね・・・。

夜、ナボコフの「ロリータ」を読む。
嗚呼ロリータ、我がロリータ、ロー、ドリー、愛しのカルメン、カルメンシータ。我がペット、ドロレス・ヘイズ、かわいいリタ!(ロリータの呼び名だけでこんなにある。実際にはもっとある。一つだけロリータの呼び名ではないやつがあるが、読んだ人は見つけてニヤニヤしてほしい)
怪しくて美しい幻想の物語かと思いきや、それはあったとしても第一部までで、それ以降はひたすら苦悩と倒錯の連続で読んでいて苦しい。そもそも序盤で主人公の性的倒錯からニンフェットしか愛せない(要するにロリ)ことが言及されているので、13歳のロリータをずっとそばに置いておきたい主人公は、ロリータに会ったと同時に崩壊に向かっていることがわかるのだ。
桜庭一樹の「私の男」や佐々木丸美の「雪の断章」だと、両方ともロリの話だけどロリ役の女性側の視点から描かれているので、男がかなり美化されている(雪の断章の裕也など、神のごとき紳士である)。
それにくらべてナボコフの「ロリータ」は男性側の視点から描かれていて、もうただ欲望がほとばしる野獣である(そもそも呼び名の中にも我がペットがある)。これは男性読者、女性読者でかなり評価が分かれるのでは?

しかしナボコフの言葉遊びと文体が徹底していて、なんかそれだけですんなりと読めてしまうのだ。

うわー、これは映画も見なくては。(*)



(*)読書系SNS



























(*)ロリータ映画版 もう一つのキューブリック版もある。これはぜひ見比べなくては。
ロリータ



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