本の紹介や読書日記。作家別一覧は「カテゴリー」からどうぞ。
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笙野頼子三冠小説集 (河出文庫 し 4-4)笙野頼子三冠小説集 (河出文庫 し 4-4)
(2007/01/06)
笙野 頼子

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―イリュージョン、パラレルワールド、妄想世界―

 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の3つが詰められた短編集。作風としてはパラレルワールドの私小説といった感じ。特に「タイムスリップ~」は日常の生活でフッと頭に湧いた妄想をあちこちにちりばめつつ小説調にまとめられている。「二百回忌」は実際にありそうでなさそうな土地で行われる法事のイリュージョンだし、「なにもしてない」は妄想世界の私小説。そしてこの小説は、読む人をかなり選ぶと思う。文章はなかなかウィットが効いていて読みやすく、ユーモアタッチだけれど、その内容がもうぶっ飛び過ぎてついていけなくなる。3作の中だと「タイムスリップ~」は電話を通じた会話の中で思考があちこちに飛ぶ、という展開なので読みやすいけれど、「二百回忌」と「なにもしてない」には困った。架空の土地の郷土史が永遠と続いているような感じで、そんなタイプが好きな人にはかなりはまるのかと思うけど、私にはイマイチな作品でした。でも「タイムスリップ~」の文章は割と幻覚的で良かったです。あー。ジャンルは幻覚小説かな、これは。
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伝奇集 (岩波文庫)伝奇集 (岩波文庫)
(1993/11)
J.L. ボルヘス

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―数分間で語りつくせる着想を
      五百ページにわたって展開するのは狂気の沙汰である―

 夢と現実のあわいに浮び上る「迷宮」としての世界を描いて、二十世紀文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九‐一九八六)。本書は、東西古今の伝説、神話、哲学を題材として精緻に織りなされた彼の処女短篇集。<amazonより>
 プロローグにすべてが語られている。つまり「数分間で語りつくせる~」。本書ではこれを実践し、予言通り、狂気の書になっている。普通の人(私のような)が読むと八割は意味が分からない。残りの二割は知らない固有名詞である。ただ、イメージ的に共感できる物もある。たとえば「バベルの図書館」は、図書館内にある膨大な本をすべて読んだ人は絶対におらず、実際に読むことも不可能なのだが、図書館の中(秘密の場所)には、全ての本の内容が詰まっており、その1冊を読んだだけで全ての本を読んだことになる、すなわち「神の本」があるはずであるがどうしても見つからない、というような。たぶん図書館のヘビーユーザにはたまらない短編だと思う、「バベルの図書館」だけだが。
幽霊たち (新潮文庫)幽霊たち (新潮文庫)
(1995/03)
ポール・オースター、柴田 元幸 他

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―青いもの。ブルーバード、ブルーベリー
               ブルース、青い目、俺の名前―


 私立探偵ブルーはホワイトから奇妙な依頼を受ける。真向かいのブラックを見張る依頼。だが、ブラックの日常には何もない。毎日何かを書き、本を読み散歩をしているだけなのである。ブルーはブラックの正体やホワイトの目的を推理して空想に飛ぶ。オースターの代表的な作品であり、ニューヨーク三部作の1つ。
 なんといっても書き出しがいい。‐まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる‐。こんな調子で続くので数ページ読むと著者近影も相まって、この作者、ムチャクチャ不器用なんじゃないかと思い親近感がわく。そしてこの小説には会話調の文はあるが、会話文がない。要するにカギカッコ付きの文が全くない。すべて地の文である。しかし(それゆえ?)読む人はあたかもブルーと会話しているような気分になる。ブルーはブラックを見張っているが、ブルーは読者に見張られているのだ。戦慄である。
★★★★☆  
仕掛け花火 綾辻・有栖川 復刊セレクション (講談社ノベルス エA- 2 綾辻・有栖川復刊セレクション)仕掛け花火 綾辻・有栖川 復刊セレクション (講談社ノベルス エA- 2 綾辻・有栖川復刊セレクション)
(2007/11/07)
江坂 遊

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 ショートショート一筋の作家・江坂遊の短編集。絶版となって手に入りにくかった作品が、綾辻・有栖川の復刊セレクションで手に入るようになりました。ありがたいかぎり。SF、ミステリ、感動系、脱力系とさまざまなジャンルのショートショートが織りなす、ショートショートの世界。絶品です。
★★★★☆
ショート・トリップショート・トリップ
(2000/06)
森 絵都

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 このまえ、江坂遊の「ひねくれアイテム」を読んでから、むかし星新一の作品をかたっぱしから読んでいた頃のようなショートショート熱が復活。その飛び火で、この作品も購入してしまいました。長編を読む傍らにショートショートを置いて、箸休めに読む。このスタイル、最近気に入っています。実際にはこの単行本ではなく、文庫版を買ったんですが、途中に挿入されている挿絵もセンスが良くなかなか楽しませてくれる一冊です。
★★★★☆
新釈 走れメロス 他四篇新釈 走れメロス 他四篇
(2007/03/13)
森見 登美彦

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 日本文学の代表的な作品をおバカに新釈。貧しい学生がまたもや京都の町をひた走る。 古典のパロディですが、正確に本筋をパロっていくのではなく、なんとなく感じたイメージを元にして書かれたような小説。この人の書く作品の登場人物にはなぜか肌があう。今回の場合は斎藤秀太郎で「俺は斎藤秀太郎だーー」と叫びながら俺は虎となり、アパートのベランダから夜空へ飛んだ。四畳半やら貧乏学生やらうじゃうじゃと出てきて、松本零士の往年の名作「男おいどん」を彷彿とさせるからか。斎藤秀太郎は大山昇太+キャプテン・ハーロックのような、男の中の男である。
まさかの結末 (扶桑社ミステリー)まさかの結末 (扶桑社ミステリー)
(2006/08)
E.W. ハイネ

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 ショートショートの伝統はドイツに!
ツイストと皮肉が利いた、怖くて楽しいショートショートの数々。
こんな作品がドイツで書きつづけられていたとは...
ちょっとした空き時間に読める、短い短い物語集です。<出版社から>
  最近ショートショートに凝ってます。短い話の中で起承転結があって最後にきちんと落とす。この本も「まさかの結末」というタイトルだけあって、落とす部分に命をかけています。落とし噺、落語に近い感じもしますね。
パーク・ライフ (文春文庫) パーク・ライフ (文春文庫)
吉田 修一 (2004/10)
文藝春秋

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―本を片手に、スターバックス―

 公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。<Amazonより>
 単純な日常の中に起こる、少しの変化のお話。臓器提供の話や出産の話などのふとした瞬間に主人公の意識が少し進むとか、そんなかんじ。この小説、一言で言うと何もない。一言で言っちゃうのもなんですが。私は推理小説読みなので、どうしても物語の終端を求めてしまうのです。落語聴きでもありますし、オチがないという話はどうも苦手。とは言うものの、主人公の日常の生活は非常にリアルに描かれていて、特にスターバックスは、何と言うか、一際あでやかな色彩を放って物語に存在していました。カバー裏の紹介文にスターバックスが登場しているのも、おそらくそういうところからなのでしょう。
★★☆☆☆(日常生活)






 ユーモア哲学者・土屋賢二のエッセイ集、第2弾。ギョーザを食べられてしまったことをひたすらグチる「わたしのギョーザをとって食べた人へ」、土屋節半開の「無人島へ持って行くもの」、ひたすら笑いを取りにいく「はじめに」、ひたすら妻にわびる「妻への詫び状」などなどユーモアとシュールに満ち溢れた短編集。しかし土屋ワールドをもっと堪能できるのはこのあと出版された「紅茶を注文する方法」なのだ。







 45歳の若さで逝った翻訳家で詩人の四条直美が娘に残した4巻のテープ。そこで語られていたのは、23歳の直美の燃えるような恋物語だった。「もし、あの時、あの人との人生を選んでいたら・・・」せつないラブストーリー。

 児玉清の「私は飛行機の中で涙が止まらなかった」というようなキャッチで話題になった小説。舞台が30年前ということで、その時代背景となるキーワードがぱらぱらとちりばめられている。題名からしてもサイモン&ガーファンクルの名曲ですね。でもキーワードがただ出てくるだけ。例えば、「その時スピーカからはボブ・ディランの歌が流れていた。」というような感じで。その時代に生きた人は、この文章で当時が思い出されるのかもしれませんが・・・。主人公もなんだか嫌な奴だし、作中に出てくる人種差別の問題も共感できないし、私としてはイマイチでした。
 どうでもいいけど、この作者、おすぎに似てる。
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