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このコーナーふるえる!落語音源では音源の紹介もしていますが、たまに演じ方のネタバレのような部分も出てきます。(誰はどんな演出であったか、などといったもの)
もし、そのようなことを知りたくないという方は、ご覧にならないことをオススメします。



噺のあらすじは「蛙の穴」さんが詳しいです。こちら

音源はこちら



冬の夜噺、夢金。
生では文朝。
音源では圓生、金馬、馬生などを聴いたことがあります。

今回取り上げるのは十代目金原亭馬生の音源。
馬生さんは私、大好きでしてね。
きれいな高い調子の声で語る人情噺には聴くものを魅了する力があります。
二番煎じ、船徳などの愉快な噺も良いですが、大阪屋花鳥、余話情浮名横櫛などの笑いがほとんどない噺も実に見事でした。

どの噺でも馬生さんが演るとどれも人情噺になっちゃう。細かい人間の感情が表れるような、それだけ人物の造形がしっかりしているのでしょう。情景の描写を直接にしないで、人物からかもしだすといった風。

で、馬生の夢金。
言葉の端端から、暗い雪の夜の静けさや寒さ冷たさが感じられる。例えば、船頭の熊が娘を舟まで連れて行くときの「あっしにかじりついていてください。桟橋に手をついたりしちゃぁ冷とうござんすから」や、熊が中洲を指して「あそこにぼぅーっと白く見えるでしょう」などのちょっとした描写から情景を感じられる。
よく考えてみると、今と違って昔、ただでさえ暗い夜に往来を照らすものといったら、大店(おおだな)から漏れる小さな明かりか、そのほかには月明かりくらいのもの。特にいっそう暗い川の上。明かりは舟についている小さなものくらいしかない。そこにぼぅーっと浮かび上がり白く見える中洲。
と、このような景色を聞き手にすんなりと想起させてくれるのです。

あと好きな場面は、熊と侍の会話。熊が酒手くれないから舟ゆする場面があります。ここで通常は侍が「舟をゆするな。みどもは泳ぎをしらん」というようなことを言いますが、馬生さんのはこうじゃぁない。熊に言わせる。
熊が「お侍さん、泳ぎぃしらねぇんでしょ。わかりまさぁ、長ぇあいだ船頭やってますからねぇ」
この演出で、雪夜の舟上という場面にさらに凄みがついてゾクゾクッ~としますよ。

ただねぇ、馬生さん。出来のいい時と悪い時の差が激しい。悪い時はなんだかワルイ、だいぶワルイ。この音源も最初のほうは、あんまり。ちょうど相談がまとまって舟に歩き始めるあたりからだんだん調子が出てきて。

最後は、スッとキレイに下げる。痛いサゲもありますが、そっちじゃないです。

音源はこちら。そういや、一緒に入っている中村仲蔵も良かったかな。

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さて、このブログの超目玉企画!

ふるえる!落語音源 第三弾でございます。

この「ふるえる!落語音源」では、現役、故人をとわず、東西演芸界「名人」「上手」「人気者」の話芸がおさめられたCD音源を紹介いたします。

今席は『新作落語』でございます。

新作落語と申しますと、ご通家にはあまり受けがよろしくないようです。
古典落語は、江戸から明治、大正、昭和とその時代時代の名人と呼ばれた師匠らが練りに練って作り上げ今日に伝えられてきたものなので噺ができあがっている、熟している。だから良いのだ、という意見。
また新作落語は、現在でも伝わるような落語をつくり新鮮な笑いにしよう。そして演者が磨きあげていき、後の世に残るような新作にしていこう。という姿勢があるようでございます。

聴く側からすると、古典には古典の良いところ、新作には新作の良いところがあり、いちがいに新作だからダメということもないと思います。
しかし、古典は下手でも聴けるが新作の下手なのは聴くにたえないというのも事実あります。

今回は「ためしてガッテン」などでお茶の間にも知られる
立川志の輔さんの「踊るファックス」でございます。


あらすじは――

新しくファックスを購入した吉田薬局。クリスマス・セールのチラシを作って至急ファックスで送るように、と言われた店のあるじが唸りながらキャッチフレーズを考えていると1通の間違いファックスが。このファックスがもとでチラシどころではない騒ぎがもちあがる。

この新作が作られたのはファックスがだいたい定着したころでしょうか。ファックスを通しておこる、ちょっとした出来事を笑いの多いドタバタ劇としてできあがっています。またささやかな会話のなかから、家族の交流を感じさせたり、と噺がなかなか練りあがっております。もちろん演者もうまく、よく新作にあるギクシャクするような雰囲気がなく自然に語られる一席でございます。

志の輔さんは作家・清水義範の作品の落語化もなさっている様子。
「バールのようなもの」をかけたということを小耳に挟みましたが、なかなか興味深いです。

そういえば「バス・ストップ」という落語も清水義範の作品に影響を受けたような感じでした。

今回の音源は

立川志の輔
「志の輔 らくごBOX」 の中の1枚
コロムビアミュージックエンタテインメント - ASIN: B00006RTB3

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さて、ごぶさたしていましたが私のLifeWork(LW)であります「ふるえる!落語音源」第2弾です。
今回は六代目 三遊亭圓生の「代脈」
花形落語特撰「代脈」「真田小僧」 テイチク TECR-20028

大まかなあらすじは・・・

ある漢方の名医が、愚かな弟子を少しでも修行させてやろうと代脈へ遣わせる。代脈とは現在の代診のこと。名医は弟子に、医者の作法や診察の注意点などをこと細かに教えるがそんなことはまったく守るような弟子ではない。代脈に行き相手先を引っ掻き回したあげくに・・・。

円生はこの愚かな弟子をただの愚か者として演じるのではなく、わざと愚かしいようなことをして周りを焦らせたり茶化したりするのを楽しんでいるような者として演じています。その調子が聴いていて実に愉快で思わずにやけてしまいます。

味のある人情噺を得意とする円生ですが、こうした軽い滑稽噺も非常におもしろい。声も通り、噺の展開をしっかりと構成しているので初心者でもふるえることの出来る噺家だとおもいます。さすが「昭和の名人」とまで言われた師匠です。
今回から、CDになっている落語音源のレビューもはじめました。
カテゴリの名は<ふるえる!落語音源>

この、「ふるえる」というコトバは「(感動のあまり)体がふるえるほどだった」
とか、「(背筋がぞっとして)知らずのうちに体が小刻みに動いていた」などの
症状を表しています。
「ふるえる」というワードに、疑問の声をたくさんいただいたので、念のため。
別にこわい噺だけ紹介するわけではないです。


今回は、八代目 林家正蔵「一眼国」
(このCDの詳細)
怪談噺・幽霊噺集成(クラウン)CRCY-10039
林家正蔵「一眼国」「年枝の怪談」

諸国を練り歩く巡礼(六部)が、見世物小屋をとりしきる香具師の親方の家へ、一晩の宿を借りる。近ごろ、いい見世物がなく困っていた親方は、一宿の恩と引き換えにと見世物になるような人間や化け物の話はないかとせっつく。六部がやっと思い出した話では、江戸から西へ百里ほど行ったところで一ッ目を見た、という。喜んだ親方はさっそく旅支度をして西へ西へと歩いて行ったが、日の暮れ時分になっても何も出ない。これは六部に騙されたか、と思ったその時、どこからか打ち出だす鐘がゴォーン。うしろから「おじさん、・・・おじさん」と呼ぶ声が聴こえる。振り返ると四つか五つの女の子が立っている。そばへよって覗き込むと、目が、一つ。これはしめたってんで小脇に掻い込んだトタン、女の子が「キャー」、悲鳴を上げた。しまった、と思ったがもう遅い。法螺貝の音(ね)がボォォォォォ、と響き早鐘がゴワンゴワンゴワーン。平らな地面から人が生えるようにあらわれ、あっという間に取り囲まれてしまった・・・。

大まかなあらすじはこんな感じ。
この音源の特によかったのは、終盤女の子が悲鳴を上げてから。
さすが怪談噺の名手、法螺貝の音が鳴るところから追手に取り囲まれるところまで、まるで夢に出てきそうな描写で語ります。
この音源は録音年月が不明なのですが、声の感じからして若いころの正蔵のようです。
正蔵のあの独特な語り口はちょっと、という人でもこれは楽しめるのではないでしょうか。実際、私はそうでしたねー。
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