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皇帝のかぎ煙草入れ
ディクスン・カー[著] / 井上 一夫[訳]







 向かいの家で、婚約者の父親が殺されるのを寝室の窓から目撃した女性。だが、彼女の部屋には前夫が忍びこんでいたので、容疑者にされた彼女は身の証を立てることができなかった。物理的には完全な状況証拠がそろってしまっているのだ。「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」とアガサ・クリスティを驚嘆せしめた不朽の本格編。(出版社より)
 ディクスン・カーの名作「皇帝のかぎ煙草入れ」
この作品、とにかく甘い。もちろん良い意味で。推理小説の官能的な甘さが物語全体に漂っているような作品です。いいねぇ、演劇を観ているようである、というかネ。主役(ヒロイン)はもちろん中心にいるが、その周りを飾る人々のなんと表情の豊かなこと!
 そしてこの、むず痒い悲劇的な展開。事件が起こったときに、自分は婚約しており前夫が忍び込んでいた事実を話し、身の証を立てることができない。甘いですねぇ~。
 カーの小説は、中盤から後半にかけて非常に良い心持ちにしてくれる。が・・・序盤、といっても始まってから数ページ、この作品だと事件発生まで、が非常に不快に感じるのである。なぜだろう、連続殺人事件はもっと不快だった。この不快の中で登場人物を立たせているのだろうか。主役の愚かさや歯がゆさから不快になるか。まァ、それはよくわからんが、この作品はスゴイ!、と。殿堂入り、かな?適当なレビューでスイマセンねぇ。
 そしてこの紹介文のアガサ「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」。この訳あってたとしたらアガサはやっぱりひどいですねえ。自分でさすがの私とか言うんじゃねぇ、コノヤロ。
というアガサ嫌いがここにいる。
これを見たアガサファンはアガサのおもしろい本教えてくれ。
頼むよ、ほんと。
どうもアガサは合わなくってね。
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 こんな駅はどう?
と、ある人が持ってきたネタがこれ、大森駅である。
マイナーな駅は失敗する。
そのようなジンクスを踏まえつつ、今回も言っちゃァ悪いが、どマイナーな駅である。
例によって何処に着地するか、それは後の楽しみとしよう。

大森駅は東京都大田区にある京浜東北線(水色の電車)が停まる駅である。
品川 - 大井町 - 大森 - 蒲田 - 川崎という路線。
大井町駅と同じく、この駅も「東海道本線は停車しないが戸籍上は東海道本線の駅」である。
駅は島式1面2線というから割と小さい。上り下りの京浜東北線が通るだけだ。
1876年開業。横浜・新橋間開業の4年後にできた、歴史のある駅。

駅の出口は東側と西側に分かれている。
東側にはホテルやビルが多く、実はニフティ本社もここらへんにある。
西側には有名な大森貝塚がある。せっかくだから、と大森貝塚でも見ることにしよう。


駅の写真なくしました。ごめんなさい



 大森駅西側の商店街は生きている。駅の前に池上通りがあり、車の流れもよくそれなりに活気があるようだ。もっとも個人商店だけではなくチェーン店も多いのではあるが。
そして、大通りを少し外れ線路沿いには、昼間見るとけだるい風情をかもしだす場末のバーが立ち並んでいた。




 少し坂を上り、大森貝塚の碑に対面する。




 立派な貝塚の碑。
しかし、この碑がある敷地面積はだいたい2畳くらいでマンションの陰、線路脇というなかなか虐げられた場所である。
東京の片隅を、ここで噛みしめることにしよう。




 貝塚公園
雄大な公園で凝ったつくり。散歩コースにはもってこいの場所。
地面からはなぜか、スモークが出ていた。


発掘された貝


 さて、大森は比較的静かで暮らしやすそうな住宅地であった。
このまま見事つまらないところに着地するのも遺憾なのでここはひとつ大井競馬場まで飛んでみることにしよう。




 というわけでやって来ました、大井競馬場。
大森の横の大井町駅からバスが出ているが、大森から歩いても歩けない距離ではない。
敷地の中には、イベントスペースや小さな遊園地、食いもの屋などもあり1日中いれるような一大テーマパーク。




 平日の競馬場は閑散としていた。とはいえ、敷地の割には閑散としていたというだけで人は多い。
完全な地方競馬。競馬界も若返りを企てたり、いろいろ金を落とすように工夫してはいますがね・・・・・・。いかんせん、金持ちはなかなか競馬に来ないんじゃないか、特に地方競馬には。
競馬場にいる人たち、金なさそうだし・・・。




 ゲートが一斉に開き馬が飛び出す。
意外にも迫力はあまり、ない。
馬は黙々と走る。途中まではほとんど盛り上がりを見せない。
先頭集団が第4コーナーあたりに差し掛かるとワァと少しだけ声があがる。
「いけぇー」
「させぇー」
「おれがついてるぞー」

おまえがついていても、仕方がない。
馬券を握りしめる者、投げ捨てる者、当たり馬券が落ちてないか探してる者、色色な人を眺めつつ競馬場をあとにした。

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Xの悲劇
エラリー・クイーン[著] / 鮎川 信夫[訳]








 ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な挑戦をする、本格中の本格。(アマゾンより)
 え~、クイーンです。批判すると怒られそうな大御所、もはや古典。こんなことを言っとりますが、クイーンは好きです。食指はあまり向かないんですが、読んでみると素晴らしいという。私の中ではそんな作家です。様式美なんですね、本格推理の。いいねぇ、ぞくぞくするね。
 探偵はドルリー・レーン。この探偵がやたらもったいぶる。がそれにはある理由がしっかりとあって、読み手は事件を捜査しているサム警部の視点で同じようにドルリー・レーンという探偵に熱くなることができるんです。ホームズの場合もそうですが、相棒の視点を通じて探偵の人物像を感じることができる、というのが良いです。
象と耳鳴り
恩田 陸[著]









曜変天目の夜
新・D坂の殺人事件
給水塔
象と耳鳴り
海にゐるのは人魚ではない
ニューメキシコの月
誰かに聞いた話
廃園
待合室の冒険
机上の論理
往復書簡
魔術師


 恩田陸の安楽椅子探偵物短編集。給水塔に潜む鬼の正体とは、地検捜査官の元に毎年送られてくる絵葉書の意味は、などを鮮やかな手さばきで解決する幻惑推理小説。
 
 安楽椅子探偵。現場にいずして状況を聞くだけで推理を構築し真相を看破する。その魅惑的な存在の裏にはちょっとした欠点があって・・・。つまり、ただの想像。下手すると妄想、こじつけ、屁理屈で終わってしまうということがあります。その推理に納得できるかどうかは読み手の感性にゆだねられるわけではありますが、「ありえない」「ただの偶然だ」などと感じさせてしまうとそこから推理が崩壊してしまうという難しさを持っています。
 
 さて、恩田陸の「象と耳鳴り」。12の短編からなっているわけですが、良かったのは「ニューメキシコの月」以降の作品。特に「廃園」に描かれる薔薇園は幻想的な情景が、幻惑させるような小説。ニューメキシコの月、待合室の冒険、机上の論理、往復書簡も良いです。
中空
鳥飼 否宇〔著〕





 何十年に一度、開花するという竹の花。その撮影のために鳶山と猫田は、大隅半島の南端に近い竹茂村を訪れた。そこは老荘思想を規範に暮らすひなびた七世帯の村だった。村人は二十年前に起きた連続殺人事件の、再来に怯えながら過ごしていた。そして、怖れていた忌まわしい殺人事件が次々と起こる!!閉鎖された村の異質な人間関係の中に潜む犯人とは!?横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した本格ミステリの秀作。(BOOKデータベース)
 竹が生い茂る村、竹茂。何十年に1度開花するという竹の花と、時期を同じくして起こる殺人。陸の孤島、閉鎖された村人の人間関係などに加え、村を支配する竹林の存在が幻想的な情景をかもしだしている。
 ただ・・・、まぁ、ホームズ役(鳶山)とワトソン役(猫田)がいるわけですがね。ワトソン猫田がヒドイ。魅力はサッパリないし、事件は引っ掻き回すし、事情聴集も半端だし。ワトソン役がしゃしゃり出るとロクなことがない。やはり本家くらいの第3者感がいいんですよね。ま、その分周りの人間や鳶山が引き立っていることもないではないですけど。
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